ash20042004-02-17

営業話者の凄さについて。
「セールストーク」、「営業トーク」というと、心にもないお世辞を言ったりして自分に便宜を図ってもらおうなどという
浅ましい様を揶揄してよく使われる言葉である。
しかし最近、そう認識して軽蔑しているだけではいかんな、と思わされることがあった。

かかってきたのは英会話の勧誘の電話であった。
以前からこの類の勧誘を一切お断り申し上げている自分は、今回もその旨を伝え電話を切ろうとした。
ところが電話口の女性はなかなか切ろうとせず、「じゃあ、こういうのはどうかな」などとどんどん話を展開、
ガードを固めた所(「いらないです」という根拠として自分が挙げた所)から微妙にずらして勧誘というジャブを打ちこんでくる。
英会話というのはマンションやお墓と違い、現在の自分に全く無益・無関係と言うわけにもいかないスキルである。
ここに若干のスキが生まれてしまったと言える。
理由を挙げないと切らせてもらえないと思ったのも甘かった。
理由を挙げれば挙げるほど相手は水を得た魚のようにしゃべるしゃべる。
さらに、適当に受け答えをしていたのがどういうわけか相手には好印象を与えたらしく、いつの間にかあだ名まで付けられる始末。
気が付けば「とりあえずお試し期間」ということでレッスンを受けることになってしまっていた。

このレッスンというのがまた特異なシステムで運営されており、
先生役の人が生徒であるこちらに電話をかけ、テレフォン上で日常英会話表現を一つ二つ教わるという。
聞くからに胡散臭いのであるが、実際にレッスンが始まると拙い英語を必死に通話口に吹き込んでいる自分があった。大学生にもなって。

そしてお試し期間二日が終わって再び勧誘の女性が登場。
ここで自分と勧誘の女性は四時間にも渡って激しい舌戦を繰り広げた。
自分は優柔不断と罵られ、「ここまで話したらトコトンやる」などとよく分からない宣言をされ、
こっちも最早他人とは思えぬということで若干和みつつ、
拙いギャグを飛ばしつつ(つまんないヤツだと思ってくれればOK)、
それでも結局最後の一線(契約)は死守し電話を切った。
「本当にいいんだね?」が彼女の最後の言葉だった。彼女は契約に失敗したわけだ。

根っからの営業話者のたくましさというのを初めて我が身で体験した。
その経験を伝えるに十分な表現力を持ち合わせていないのが惜しい。
彼らは言葉で諭しても無駄である。
起き上がりこぼしのように不屈であり、あかべこのように頭叩いてもゆらゆらとノーダメージである。
そして根っからの営業話者は雑談も意外とイケる。余裕があるということだね。