行動記録

その日は4月26日、俺は「台場→六本木ヒルズ→汐留」という、やや強行軍な新興デートスポットめぐりをしていた。
途中、雨が降ってきてせっかく散歩しようと思ってたのに中断せられたりもしたが、夕方汐留に着く頃にはすっかり上がって。
日テレのプラスワンというニュース番組でやってる「木原さんのお天気コーナー」の現場を観戦し、ガキどもがわらわらといた。
俺はコーナー立ち上がりの時の木原さんの絶叫が聞けてテンションが上がった。


その後、新横浜のホットなスポットに行き、ホットなスポットは車のナンバーを控えられるので路駐を敢行し、ホットに過ごし、
今日も楽しかったねバイバイ、てな流れになるはずだったのが、バイバイ前に衝撃の告白をされる。
まさに寝耳に水、振り向きざまに拳骨、といった風情で、かつてないほど狼狽した俺は傍から見れば見苦しいであろうありさま。
さっきまでホットに過ごしてたじゃない、という質問に対し、最終的に確かめてみた、という答え。
確かめてみたがやっぱり駄目だったらしい。なんじゃそりゃ。
俺にはずっと、理由はよく分からないが、
一緒にいれば(付き合ってれば)最初は俺への気持ちがそれほどでもなかった相手を好きにならせる自信があった。
実際にその人も、言動から判断するに、僅かずつではあるが気持ちが右肩上がりのように思えていた。
それがあまりにも見事に打ち砕かれたため、あともちろん好きだったことも手伝って、俺は精神的な死を迎えそうになった。つーか一度迎えた。
もう会えないの?という問いにはイエス、いい男になったらまた付き合ってくれる?という問いにもイエス


朝7時過ぎに帰宅し、真っ赤になっている目を親に見られたくないから自室に直行しベッドに倒れこんだ。
もう何もかも終わったと思い不貞寝をしていると、数時間後、突如として電話が鳴る。
早く出て来いバカーっ、という言葉の意味を理解するのに十秒以上かかったけれども、玄関を開けると彼女が立っていて、
いきなり、ごめんなさい、やり直してください、と言って深く頭を下げた。お世話になります、みたいな感じで。
やっぱり「兄さん」のことが好きみたいなの、と言った数時間前の言葉は何だったのか、未だに分からないが、
別れた後なぜだか無性に泣けた、というこの瞬間新しく発せられた言葉もまた本当で、
俺にとっては一度底まで落ちてまた復帰するという起死回生スタイル。
まだまだ不安定な関係が続いていく4月5月である。