カワノ将軍から「君は頭は良いんだけど賢くない」と言われる。
俺は「賢い」ことは「頭が良い」の大前提だと思っていたのだが、彼によれば両者は別物なのだという。
ちょっと聞いてみると、「頭が良い」というのは物を知っているとか何とか、そういうことらしい。
「賢い」というのはハッキリとは分からなかったが、生きるための智慧みたいなものを身に付けていることをさすようだ。


俺はその話を聞いていて、「頭の良さ」をハードの良さ、「賢さ」をソフトの良さに置き替えるというのを思い付いたので、
将軍に、「俺の脳をペンティアム4とするなら将軍のはペンティアム2、みたいな感じかね。」と露骨に挑発的なことを言ってみた。もちろんギャグだ。
将軍はセレロンと言わなかっただけマシだから許してやる、と寛大なことを言った。


そして話を元に戻し、その「賢さ」を身に付けることが出来れば、たとえば車も売れるだろうし、人生をよりよく生きることが出来るのだと言った。


自分はこのことに22歳の時気付いた、少し遅かったが気付けただけマシだと思っている。
なぜなら気付かぬままに年を取り死んでいく人の方が多いからだ。
知っていても教えないことの一つだそうだ。
その賢さを身に付けたかったら君の上司であるリーダーを徹底的に研究することだ、と彼は言った。
将軍の将軍たる部分、エッセンス・オブ・ショウグンを披露してくれたことに感謝する一方で、
仕事をしながら自分が漠然と感じていたもの、それが「賢さ」の欠如であったとはっきり認識し暗澹たる気持ちになった。


俺はどーでもいいことを話すのは得意だし好きだが、賢いことをやるのは苦手だ。
会社で「宇宙人」と称されるくらい苦手だ。あとめんどくさいことも。