就職活動〜内定〜バイト惨敗〜困惑、その一

俺が周囲の大学生から出遅れて就職活動を開始したことや、会社の求めてくる「言葉」に違和感を感じて社会に出られるか不安だったこととかは
当時のログを見てもらえば分かると思うんだけども、
内定が出たのは5月下旬と結果だけ見れば全く順調そのものだったといえる。
とは言いながら内実は酷いもので、結局受けた会社は2社だけだ。メーカーとその系列の販社と。
説明会に行ったのは4〜5回くらい。
そのうち一回で不動産業をあきらめ(給料が良さそうだから見に行ったが、朝礼シーンのビデオを鑑賞してドン引きした笑・私立の全国クラスの野球部みたいな感じ)、
そのうち一回でトヨタカローラ店は乗りたい車が一台もないのでパスし(まーセリカはギリギリオッケーやけど)、
そのうち一回は忘れて、
そのうち一回で内定をもらった会社と出会い、資料や説明を聞く限りでは身の丈の言葉を使っているように感じて(奇を衒わない、地に足がついているという意味)、
祖父のRX-8の縁もあるしと思って(いや、あーだこーだ言う前に俺はRX-8が大好きなのだ。最近乗ってないけど)受けるのを決めて、
筆記一回面接二回を生き延びて、結局内定を得てしまった。


先日「内定者懇親会」に出席してきたことは書いたが、
その場で偉いさんが口にした「みんな違う人を選んだ、みんなそれぞれ特徴があって、イイ所がある。多趣味であるとかや」という、
ビールのせいでうろ覚えだけど大筋で間違ってはいないだろう言葉。
ハッキリ言って俺はナニで採用されたのだろうか?ルックスか?この流れるようなボディラインが素敵ですね、ってクルマじゃないんだから。
履歴書の「趣味」の欄に書いたの「読書」「ドライブ」やぞ。こんなやつ今日日ていうかいつの時代もいくらでもおる。
「読書」の後ろに「小説・評論など年間100冊」って書いたけど面接でそれについては全く触れてもらわなかったし。微妙に数に下駄履かせてる所がカッコ悪いし(笑)


筆記試験だってテンパって「引率」の率の字を何か違うような気がしながら卒業の卒にしてしまうし、
作文においてはA4くらいはあった用紙に5〜6行しか書けなくて、それって見た目すんごい貧相で、
マジ泣きそうになりながら「でもこれ以上書くことねぇよ〜」なんつってそのまま提出して、
それでもその短い文の内容を帰りに思い返してみると福田和也がどっかの本(「岐路に立つ君へ」だったかも)で似たようなこと書いてたな〜なんて無意識のパクリ疑惑まで出てきて、
こりゃもう絶対落ちるなと覚悟して。
何の興味もない外食やパチンコ・レジャー系に就職し体を壊して60を待たずに落命するのかな、なんつって悲観的になっていたんだけど何の間違いか筆記が通ってしまった。
他に受けたのがよっぽどバカだった、なんて思えないので、筆記はサル並みの奴だけ落としていたんだろうと結論する。


次にやって来たのが面接一次。二週間後くらい。
バイトの面接で連続落ちをかますようなたわけが何をやったら受かるのか。
策はありませんでした。いや一つを除いて。
ゼミでもらった本にフェスティンガーの「認知的不協和」の話が書いてあって、
それを読むとまさしく自動車セールスにぴったり使えそうじゃね?ってドンピシャの説で、
簡単に言うと「消費者は大きな決断をした時ほど心に不協和を抱える」から、「その不協和を和らげるサービスをすればよい」って話なんだけど、
俺の武器は正直これだけで、よく面接の冒頭に聞かれる自己PRなんてのは全く考えておらず、
ていうか考えたってPRするところなんてないことが明らかに自覚できてたので考える事すら避けてて、
(就職活動における面接では、言うことに必ず具体例が付属しなくてはいけません。「私は正直です。たとえば・・・」のたとえば以降が大事なのです。
自分には自分の思うイイ所がそれなりにありますが、何一つ具体的に言うことができませんでしたし今だってそうです。)
自己PRの話題になったらもう諦めよう、という気分で面接に望んだら、
まさに自己PRが最初の質問で、俺は三枝師匠のように椅子からコロッといこうかと思った。
3人を同時に面接するというスタイルで、PRは俺が一番最後。
思い返せばこれが良かったのだろう。二人の話の組み立てなどを聞いて、自身の無根拠話を精一杯意味があるように粉飾する時間が持てたのだから。
正直前の二人は自分で一からサークルを作っただの、卒論で何とか島を調査するだの、スケールと行動力の規模が違い過ぎて俺萎縮。
こりゃあ無理やわ、てって顔を逸らし気味にしてニヤニヤしてた。何とか俺も考えなくてはと思いながら。
俺の番が来て、何を言ったか忘れたけど確か「私は誠実です。周りの人に信頼されています」って意味のことを言ったと思う。
当然具体例は言えなかった。ステディーの親御さんにも評判がいいんですよ、など事実であっても言わなかった。
で、誠実バナシがあっという間にネタ切れになって、次に何を言ったかというとメーカーのファンであるということ(笑)基本です。圧倒的に基本です。
自分はロードスターが好き。RX-8が好き。それ以外に何があるんだ?
そういう車を扱う仕事ならば続けられると思うし・・・(云々)。
そして取って付けたようにしか見えない展開から「認知的不協和」の話をする。
「高額商品であるクルマを買うお客様というのはこれを買っていいんだろうかという不安と戦うものだから」と、微妙にアレンジを加えた形で面接官にシュート!を撃ち込む。
とどめに演技をかましてみた。面接官の眼を見ながら「俺を採ってくれよ〜」って顔をする。
自分では眼を剥いてみたつもりだが相手にはどう見えたことやらって感じ。
だが今思い返してみた所、その時の顔と初めて女の人をホテルに誘って成功した(何度も言うが性交はしなかった)時の顔は微妙に似ていた。顔のつくり方が。
結果だけを見て話をすると、これが俺の「殺し」になるのか将来的に!って感じだ。


ほんで終わって、別に問題になりそうなことも言わなかったけど自分を売り込むことにも失敗したかな、というのが印象だった。
しかし一週間後、二次面接の通知が来た。
基本的に誠実であることとメーカーのファンであることを表明することで、俺は一次を突破したのだ。
何が買われたのかはハッキリ言って不明である。


あ、何かすっげぇ長くなってるので続きはまた今度にします(笑)


(画像はマツダ・サバンナRX-7