ケツに擦り傷、さようならバージン

ash20042004-09-20

俺が我が家のロードスターマツダ・ロードスターNR-A)に乗り始めてから既に半年が過ぎた。
納車の日にディーラーから家までわずか5キロの道程で7回ものエンストをかまし惨憺たるカーライフをスタートさせてから180日、
約8000キロメートルを走破し、エンストは二日にいっぺんくらいにまで減り、先日など長野県へのロング移動をキメるまでになった。
もちろん運転技術、スキル的なもので言えばサッパリで、回転合わせも満足に出来ないし幅寄せも完璧にはこなせない。


道路上で自分は極めて穏やかな走行を心がけており、教習所で習う「スピードを出さなけりゃ安全」式の運転ではなくして、
流れに乗る、流れを乱さずに通行することを第一に考え、むやみな追い越し、急アクセル、急ブレーキの類は非常時以外控える、
スピードを出した方が適当だと思えば速度超過も多少はするし、
信号のない&見通しの悪い&道路幅の狭い住宅地を近道として使用するのは突然の飛び出し等が怖いからしない、
という具合で総合して言えば、日々状況を読む訓練をしている。


たとえば市街地は信号が多いので、どんなに追い越しをかましたり速度を上げて行っても、結局信号で捕まり、
後ろからぼちぼち走ってきた車に追いつかれてしまうことが多いのであり、安全面、精神衛生面両面で良いことなど何もないのである。


などと、知ったような顔で交通について、運転について語っていられたのはつい昨日までの話だ。
今、自宅の前でうずくまるロードスターはシクシクと泣いているように見える。
浅間山の灰をかぶり、こいつぁリアルシンデレラボーイだぜ、なぁ母さん、なんておだててみても一向に顔をあげようとしない。
俺にはその理由が分かっている。その原因を作ったのが俺だからだ。
昨日、俺は某アミューズメント施設相模原店にアミューズメントしにNB6Cを走らせた。
中国道16号は酷い渋滞で、クラクションの頻繁に鳴らされる、まさに交通紛争の装いであったのだが、
そのような人間の醜い部分を見て若干神経が疲れていたのだろうか、駐車場に入れる際に致命的なミスを犯してしまったのである。
俺の知っている屋根付き駐車場のほとんどは、屋根を支える柱が、車を停める場所を仕切る白線の脇にある、
すなわち、車を完全に白線内に納めた際、前輪の横にあるものだった。
しかしその糞アミューズメントの駐車場の柱ときたら、前輪の横よりも遥かに前にせり出していて、
白線を目印にして一発で決めるスタイルの俺とは根本的に反りが合わないというか、
白線目印で行くとそうして前にせり出した柱がケツに触れそうになる、っていうか触れてしまったのであって、
「コツン」、ってな感じで車がそれ以上後ろに動かなくなって、ん?って見たら柱と接吻してやんの。


状況を確認すると、柱に付けられた金属製プロテクター様のものにヒットしたらしく、引っかいたような傷がケツの左側についていた。
さらに悪いことに、一、二箇所塗装が剥がれているっぽいところまであって、黒い地金がのぞいている。
俺はこんな大したことない場所で愛するロードスターのお尻の処女を失ってしまったのだ。
まだ峠を走行中に不意にリアタイヤが流れ、ガードレールに触れてしまった、みたいなのの方が自分も納得がいくというか、
事態を受け入れやすかったんだけれど、停める際、別に周りに一台も車はなかったから余裕、のシチュエーションだというのに、
よりによって駐車場の柱みたいな鈍臭いシロモノにヤラれちゃうなんて、ムカつくとかショック、を通り越して、
ただただ気持ちがダウナーな方に向かい、アミューズメントももちろん心から楽しめなくって、
修理代に思いを馳せるとそのダウナーが最高潮に達するのだった。


俺はスーパーマリオブラザーズの1−1でビーダッシュクリボーに衝突みたいな、初歩中の初歩ミス野郎だ。
あるいはロードランナーで自分で掘った穴に転落するような間抜けだ。
こんな主で本当にすまない、と、庭で巨体をうずくまらせているロードスターに声をかけ、もちろん返答なんかあるわけない、あったらその方が怖いがな、
黙って月末の給料日にはよろしく、よろしく、って感じの空気を漂わせてて俺はそれを汲んでやるつもりだ。