仮面ライダー剣(ブレイド)ミョウガ味

ash20042004-08-17

テレビ朝日の日曜朝というと仮面ライダー戦隊もので小一時間楽しめる、エンターテイメント枠として名高い。
その「面白さ」は少なくとも三つ以上のフェイズから成り立っており、それによって乳幼児から学童、中高生に至る少年期はもちろんのこと、
モラトリアム大学生やバイト出勤前のバンドマン、自我を持て余したフリーターなどのいわゆる「大人こども」期にある人や
愛息の世話しかすることがないと嘆いている割にはライフを楽しんじゃってる主婦、など幅広い層に届くものとなっている。


まず乳幼児期から学童、中高生はその勧善懲悪の分かりやすさやファンタジー具合、メカ、敵の魔女のコスプレに感じる性、
などで仮面ライダー戦隊ものを単純にエンタとして面白いものと感じている。
なぜメカや恐竜や改造人間に興奮するのか、月九などを興奮して見ないのか、という根源的な問いはここでは措く。
また、勧善懲悪は絶対要件であって、「casshernキャシャーン)」みたいに自殺みたいにされるのは困る。
海のトリトン」なんてもってのほかだ(俺はどっちも見たことがないが)。
もっとも近年の仮面ライダーは勧善懲悪ではない、などという話も聞く。主人公悩んでるらしいよ。
俺が見た「ライダー」ではライダー同志が敵味方に分かれて戦っていた。
でもそれは子どもにとってはどうでもいいことで、他の設定がエンタとして面白かった(理由関係なくライダー同志が殴りあうのは萌える)、
メカその他の物品が充実していた、CMや小学○年生での広告活動が成功した、
というのが、評判が良かったとすればそれが真相だろうし、ウケた理由を大人の人テレビ局の人が後付けるならそうなるというだけだろう。
戦い大好きの主人公が深刻ぶって悩んでるのを真に受けるのは一部の信者(それはおとな)だけだ。
つーかエヴァンゲリオンの波がついに仮面ライダーをも蝕んできているというのかい?


仮面ライダーの話ばかりになってしまったが、俺が強烈にプッシュしたいのはどちらかというと「戦隊もの」のほうで、
ここに二つ目のフェイズ、モラトリアム大学生やバイト出勤前のバンドマン、自我を持て余したフリーターが見ても面白いと感じる部分が凝縮されている。
俺は今期の「特捜戦隊デカレンジャー」は一度も見たことがないが、
別にデカレンジャーだろうがギンガマンだろうがハリケンジャーだろうが何でもいい。ジャーの前はいい。
何が青年を喜ばせるのかといえば、ツッコミの宝庫なのだこのシリーズは。
ツッコミが下手なヤツでも簡単に画面に向かって注意出来る。ツッコミとは注意すること。いくらでもツッコミの種が散らばっている。
それはセリフのワーディングから始まりイケメン役者のイケてない演技、さらにVシネマかと見まがう様な臭い芝居と人物造形・・・
などもそうなのだが最もツッコむべきは、マジメに戦っているはずの主人公たちを突き放すようなマヌケ演出の方だ。
具体的に言葉にして説明しにくいのだが、何かがおかしい。
過剰でやり過ぎているがゆえにおかしかったり、明らかに何か足りないからおかしかったり、色々あるけれども、全て「ツッコミ待ち」の様相を呈している。
デカレンジャーのいっこ前にやってた「爆竜戦隊アバレンジャー」の最終回で、この作品では何でも語頭に「アバレ」と付ける習わしがあったらしいのだが、
主人公らが行きつけの料理屋で「アバレ同窓会」なるものを開いているのを見た時に俺は「こいつらツッコんでほしいんだな」と心底思った。


バーチャルネットアイドルちゆ12歳」ではガオレンジャーを始めとした戦隊ものに容赦ないツッコミを入れていて面白い。
トップページから行けないようなのでURLを提示しておくが、
http://www.google.co.jp/search?hl=ja&lr=&ie=UTF-8&q=+site:tiyu.to+%E3%81%A1%E3%82%86%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9
何とかレンジャー系の過去ログを見てもらえばその空気がきっと伝わるはずだ。


戦隊ものを見る時には敢えて僕たちが今生きている現実に固執しよう。そして全てにツッコミを入れてやるんだ。


これをファンタジーでなくリアル人間ドラマでも可能であることを証明したのが、
同じくテレビ朝日で放映された「特命係長・只野仁」である。
世間的には深夜枠を生かした「お色気シーン」で成功したように言われていて、実際数字を取ったのはそれが大きいのだろうけれど、
では一度チャンネルを合わせた人を引き止めたものは何だったのかというと、主演の高橋克典や社長役の梅宮辰夫の濃過ぎるツラと、
圧倒的に「ありきたりな」ストーリー展開とそれに合わせるようなありきたり演出だった。
ヤクザや闇の社会と戦うけど普段はうだつの上がらない係長、という、世界でもう一万回くらい描かれたであろう設定。
ハッキリ言ってストーリーに目新しいものもなければ(俺は新しいストーリーはないという立場だが)演出がスタイリッシュであるとかいうことも全くなく、
ただただ「古きよき」手触りやVシネマってこんな感じなのかなーというテンションで全編を乗り切ってしまっている。
そしてコレが一番大事なことだが、それでも面白いのであった。
エンディングテーマが「川の流れのように」のカバーという、どうしようもない場末感と意味不明感、
高橋克典が見せる、二枚目とは信じられなくなるような情けなく歪んだ表情。そしてしょっちゅうやる腹筋(上半身裸)。
ツッコミやすいのは言うまでもない。
脱ぎ要員は名もなきAV女優だったが、高樹マリアという名のあるAV女優になるとあるエピソードの主役級、克典の相手役という大役をこなしていた。
ちなみに先日ツタヤ大和店のAVコーナーを視察したところ、彼女高樹マリアがランキング二位を獲得していたことを報告しておく。一位は古都ひかる
(まったく余談だが最近のアダルトビデオは本当に可愛い娘が出ているよね。もう本当に。俺は驚くばかりだ。)


韓国ドラマがウケているのはベタだから、なんて言われているけど、それが的を射ているとして、
ドラマっていうのはベタじゃないと色々な意味で面白くないことがこれでハッキリした。
以前、「面白いと言われるために必要な事は細部の煮詰め(特に、分かる人には分かる的な小ネタを入れる)」ということを書いたけど、
それと真逆、極北に位置する方法として「ベタかつクサイかつ濃い」の重ね塗りの存在を指摘したい。


三つ目のフェイズは短いのですぐ終わる。萌え要素だ。
仮面ライダーが主婦向けのイケメンパンフレットに成り下がったのはここ数年、数作のことだが、マーケティング的には成功しているのだろう。
主婦の萌えというのはどこにツボがあるか分からないという好例である。
おそらくだが、身近であると感じることは絶対に必要だろう。
日曜の朝っぱら食卓に登場するイケメンは、自分のボディゾーンの内に入ってくるように感じるはずだ。
それはパート先で不倫をすることや、出会い系メールの相手に恋をしやすいことなどでもハッキリ明らかである。


新しいライダーは仮面ライダー剣仮面ライダーブレイドと読ませたいらしいが、
キャストにも全く目を通していないがやっぱりイケてるメンズ大集合なのだろうか。
ただ、俺はライダーブレイドがポスターとなって街に貼られているのを見るたび「ミョウガ」を思い出す。
ミョウガライダー、イケてるのか。


(画像はバンダイミョウガライダーヘルメット幼児用)