体脂肪に夢を乗せて創作(風景はなし)

肥満児に片足を突っ込んだような体格を原動機付き自転車からはみ出させて、肥満児ってくらいだからガキで当然のこと無免許、
そんな身の上を乳首がずれてないポリスマンに検挙されそうになった平成十六年八月の寝苦しい夜に俺はレーシングドライバーとして覚醒した。
俺が物理的にあり得ないコーナリングをキメると、まともな乳首のパトカーはいとも簡単にT字路のTって字の棒同士が交差する辺りに突き刺さった。
ウイニングラン綱島街道。246号とか危ないから。


俺のハウスは広い道路に面した高級マンションの、裏の、低層住宅で、日照権や何やでイチャモンをつけ金銭を得、今の愛機を手に入れた。
そこの管理人とは殴り合いの喧嘩をしたこともあって、幾ら俺が肥満児に片足を突っ込んだ体格でもガキはガキに過ぎず、
ボッコンボッコン、「紅の豚」の最後の殴り合い状態でグロッキーに陥ったんでムカついたから(俺のところにはジーナみたいな美女は来ねぇ)
ダンボールに朝イチの大便を入れてゆうパックで出したらそいつが重症のスカトロジストで逆に中元をくれるようになるほどに共感くれたみたい。
家賃も行政が払ってくれているから別に人生上何の問題もない。
ただ食費だけはどうにもならないから学校の先生に泣きついてもらってる。へへ、こ、こんなにありがとうございます先生、って。


何か知り合いのライブに行って知り合いの知り合いに、知り合いのいない所で「レーシングドライバーやってます」って言ったら反応が気持ちいい。
手品師と違ってやって見せてくれって言われないからバレないし、バカをやってハンドルを回す真似でもすればバカな女はキャッキャと喜んでくれる。
もちろん知り合いは俺が金もなければ親もない、何の取り柄もないただの肥満児であることを知っているから、
ライブだってお義理で呼んでくれたに違いなくって、だからなるべく目立たないようにして人生の偽造をして楽しんでる。


ただ一度酔った知り合いの女にこの話をしたら「デブでもなれるんだぁ〜」って言われたからつい手が出ちまって、
ライブハウスのトイレで中国の伝統的武闘スタイル散打でもって好きなようにやった。
そしたらそいつが興奮してきて抵抗むなしくあっさりチェリボーイを失ってしまって呆然、白い子種が噴出し女が大爆笑して俺はEDになってしまった。
それから、草刈正雄が愉快に空中ブランコしながら勃起不全のPRをするというバイエル薬品のテレビコマーシャルに出会うまで、俺の人生は暗かった。
山のふもとにある開けた草原から山にかかった雲を眺めていたら、その雲を断ち割るように光が帯っぽく差してきて身体を包み込んでくれたような、
そんな感じを、バイエル薬品のCMから受けて、実際空中ブランコに俺もフルチンで乗ってみて楽しかったから将来はバイエル薬品に就職しようと思っている。