ハッキリ言って全殺しだよ

オウムと全共闘

オウムと全共闘

お金もないし、専門書みたいなもんはウン千円とかしよるんで、最近は図書館で本を借りるようになりました。部屋に置くスペースがないというのもあるけど。
利用するようになって、さすが図書館、知の宝庫だワッショイ、という感動(最近はオンラインで蔵書検索が出来たりする)を覚える一方、残念に思うのは、名目上「みんなの財産」である本への書き込みです。ちょっと前にニュースで「本のページを破る、落書きをする、線を引く」などの行為が問題になっているというのを見ました。
その時は、地図が被害に遭うなど、どちらかというと実用的な本がターゲットにされてるのかなという印象を持ちました。だから、自分が借りるようなジャンルの本が、訳の分からん書き込みで汚染されているとはまったく考えもしていませんでした。
苅谷剛彦氏の「階層化日本と教育危機」は名著だと思いますが、普通に買うと4000円します。当然自分では買えない、立派な専門書であります。図書館を利用しようと思ったきっかけは、この本が蔵書してあるのを知ったからでした。
一体どんなことが書いてあるのか、胸をときめかせながら自宅に帰り表紙を開いてみると、しかし1ページ目から変なミミズの這ったようなラインがズバズバ引かれているのが目に入りました。グラフの要注意点をチェックしてあるのは自分も「ちょっと読みやすい」と思ってしまったのですが(笑)、本文に線を引いたり、上の余白に弧を書いて「重要」みたいにして括ったりするのはムカつくから止めてほしいと思います。
繰り返しますが、本自体はとても良い内容です。みんな借りて読めって感じ。


小浜逸郎氏の「オウムと全共闘」も読んでみたい本でした。今回、最も憤りを覚えたのはこの本への書き込みです。何が腹立つかって、本文上の余白に「うむ」と。「うむ」と書いてあるんですよ。それも一つや二つではない。大量にです。
筆圧が弱く、ふわふわっと書いてあるので最初は何と書いてあるのか分からなかった。何か、このアホにしか分からない記号だろうかと。しかししばらく読み進めていくと、今度は読める文章が現れました。
「その心意気やよし」。それは、小浜逸郎氏が吉本隆明に反旗を翻す、本書でも指折りのくだりの、結びの部分でした。苛立ちを通り越して苦笑してしまったのですが、この何様的な文体から「うむ」を読み解くことに成功したのです。
こんな偉そうで、他の利用者のことを考えないマイウェイな振る舞いを天然で出来るのは、明らかに年配、それも60オーバーのおっさんだけだと思います。ハッキリ言って、今の日本で礼節がなっているとか、なっていないとかいう議論は、生まれ年で区切っても無効だと思いますよ。
むしろおっさんの方が、自分がどう見られているかに意識がいってない分、本当に性質が悪い。デリカシーって学校で習わなかったんでしょうか。こういう大人にはなりたくないものです。
話が逸れましたが、借りた本に「うむ」とか書くのは止めましょう。大して重要とも思えない部分に「うむ」なんて書くと、後の利用者に嘲笑されちゃうんだから。そんな一般論みたいなところに引いてどうするオサン。村上春樹の本に線を引きたくなる気持ちは分からないでもない。でも止めましょう。