シーン描写もりもりでござそうろ

昨日書いた「女の子ちゃん」ネタのタイトルに「創作」と付いてるのは、これが事実無根の脳内シミュレーター製だからではなくて、
記憶が曖昧なところを筆で補った部分が多少あるというのと、もうひとつ、「風景」を描いてみようという意図があったからだ。
何だかんだで影響されやすい俺は、保坂和志さんのように意識的な作家に触れてしまうと、自分も意識的になろうなんて浅はかな考えをすぐに起こしてしまう。
そして「書きあぐねている人のための小説入門」で一番心に残った部分であるところの「風景」に注目、
意識して風景を描こう、自分という身体を通した風景を描こうと思って、試みたのだった。
その結果は俺の中では全然アカンかった、ということになるが、やはり一番感じたのが自分自身の強張りで、
普段から考えたこともないのにいきなり行っちゃうから取っ掛かりがない。やはり「型」を意識してしまっている。
で、記憶を引っ張り出して風景として書いてみるんだけど何か長いしイメージできにくいし、イメージできたとしても貧相な風景だなコレって感じだし、
思った以上に「風景を描く」というのは難題だった。


本人はどうなんだろうと思って芥川賞受賞の「この人の閾」を読み返してみると、面白くて(読んでていい気分になる)そのまま最後まで読んじゃったんだけど、
ホント必要最小限の言葉で説明がなされているし、
自分が読むスピード=文字数と人間の動きや会話がピッタリはまっていてどんどん引き込まれていく感じがするし、
うん、すごく良かった。
良かったで終わっちゃいかんのだけど、本当よかった。
次もせめて意識的に描こうとは思っておこう。